そんぴの甲州弁随想・概論




□ 甲州弁は難しい?

 甲州弁は、四方を他国に囲まれた甲斐の国をスパイから守るために武田信玄が 作らせた人工方言だという噂があります。鵜呑みに信じる気にはなれませんが、 そうでないという証拠も僕は持っていません。 NHKの「武田信玄」には甲州弁を喋るヂモティー(地元民)の青年が登場していた そうなので「信玄が作らせた人工方言」説を否定する立場なのでしょう。

 でも、そう思いたくもなるような、独特の不思議な言い回しや、 いわゆる共通語と同じ単語を微妙に違う意味に使うという例が多いのも事実です。 このページ群でも、甲州弁を解釈するために「置き換え可能」な単語を紹介する予定ですが、 この「置き換え可能」が双方向ではないものがしばしばあります。
 あと、単なる「独特な音便変化」に過ぎないと思われる言葉も多く、 慣れてしまえば少なくともヒヤリングで困る事はなくなるでしょう。

 甲州人が甲州弁と共通語を識別できないもうひとつの理由として 「文法はそんなに違わない」があると思います。せいぜい微妙に発音が違うとか、 言い回しで選ぶ単語が違うといった個人差レヴェルの差異にしか感じられないのでは ないでしょうか。外から来て「知らない単語」に遭遇して「何語!?」と驚くのも 無理はありませんが、甲州弁は紛れもなく日本語です。 大阪で甲州弁を使ったら「兄さん東京から来たんかいな」と言われました。 関西人から見たらその程度の違いしかない言葉なんです。

 繰り返しになりますが、甲州弁で注意しなければいけないのは甲州弁特有の際立った 単語ではなく、共通語と同じ語彙を異なるニュアンスで使う言葉です。 それに気づいていれば甲州弁は怖くありません。でもやっぱり容易ではないかな…。


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